2017年07月08日

展示解説は荒川さん

みなさんこんにちは、学芸員Aです。

本日はじまった展示の解説が、午前11時から行われました。

ワンポイントガイドみたいなものでしょうか、いいものですね。

講師は新潟県埋蔵文化財事業団の荒川隆史さん。

青田遺跡の調査・研究で有名な方です。

聞いてよかったお話がたくさんありました。

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糸魚川ならではの「北陸系」スタイルの土器の多さ、

磨製石斧の多さ、石錘(おもり)の多さ、そして石鏃(矢尻)の少なさ。

土器のスタイルは、社会関係の間接指標なので、

この地域が北陸に近いことをそのまま表しています。

錘は普通、網に取り付けられるものなので、

それが多いということは漁撈への依存度の高さをあらわし、

矢尻の少なさは狩猟への依存が低いことを表す、といいます。

「石鏃を漁労に使わないのか」、と逆の意味で感心してしまいました。

海からすごく近くて標高も2〜3mくらいといいますから、

日本海側の海浜部の適応に注目が集まるところですが、

それを明らかにするはやはり直接証拠である有機質遺物が必要です。

でも土の中で溶けてしまったのか、見つからなかったようです。

「重文になりそうですか」という質問に「青田の方が・・・」と仰ったのは当然です。

青田には膨大な数量の木製品(木製道具)が出土し、生活の実態がよく見えたからです。

一般にはなかなか注目されないかもしれませんが、

土器や石器のような、どこの遺跡にもあるものより、

学術的には木や骨・角・牙とその製品の方が圧倒的に貴重なのです。


他方で、蛇紋岩や透閃石岩の石斧の製作過程を示す遺物が異常に多いことと、

ヒスイの原石と、製品になってなくて、何をしようとしたのかわからない加工痕がある剥片が

多く出ていることは非常に注目すべきことです。

狩猟採集民社会においては石斧や石槍は交換材として機能することがあります。

糸魚川では有名な翡翠の装飾品よりもさきに蛇紋岩などの石斧が価値を持っていたようです。

大珠が流行するのはこの辺の時期からですが、まだその流行に至ってない。

少し加工した痕跡のあるヒスイの剥片は、なにかを暗示しているように思えます。

ここで、なにかが始まろうとしていたんですよね。きっと。

実用品を超えたというか、実用品とは異なる領域にある付加価値の発生が、

今まさに起きようとしている、そういう現場を見たような気がします。

ところで磨製石斧の初期工程の「擦り切り」ってどのくらいの時間がかかるのでしょう。

1日から2日程度、だそうです。

大実験の予感がしてきました。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 15:12| Comment(0) | 日記

2017年07月06日

六反田南ちゃん

みなさんこんにちは、学芸員Aです。

新潟県埋蔵文化財事業団の方々がいらっしゃいました。

明後日から始まる巡回展示、

「縄文の造形美-六反田南遺跡-」の準備のためです。

なんせ土器の数が多いし、いろんな土器があります。

ロビーから悲鳴に似た声が聞こえてきたような来ないような・・・

作業も大変みたいです。

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「南」といえば、某伝説的野球漫画の「南ちゃん」が思い出されます。

いまwikipediaを見てみたら、

そこに引用されている声優さんのコメントが面白かったので、孫引用。


「達也の気持ちに気付いていながら気付かないふりをして煮え切らない態度で接し」、


「達也を愛している自覚があるのに、(南を)慕ってくる幾人もの男性に


思わせぶりな態度で接する八方美人的な面が鼻につく」



そういう見方があったか!と気づかされたり、女子目線恐るべし!と慄いたり・・。

もちろん、


六反田南ちゃんに限って

そんな「鼻につく」ところはないはず


とは思いますが、

展示をどうご覧になるかはそれぞれ。

皆さんも是非。


阿部
posted by 十日町市博物館 at 16:41| Comment(0) | 日記

2017年07月04日

博学連携プロジェクト

みなさんこんにちは、学芸員Aです。

博学連携プロジェクトの「交流学習会」が開催され、

我が博物館も会場の一つとして、協力させていただきました。

今年の児童はしっかりしているらしく、博物館ロビーへの集合は予定を前倒して完了し、

「しーーー!」って言われずとも静かになって先生の言葉を待つ。

「みなさん立派ですね!」と事務局代表からお褒めの言葉がありました。

あまのじゃくのワタクシはそんな「普通じゃない」子どもたちを見ると、

逆に心配なったりするわけですが、余計なお世話ですねきっと。


交流学習会は、博物館の中で展示解説を聞くとか、

ちっちゃい土器を作るとかして知識を広め、

それから体育館に移動して、

学校間でお友達と仲良くなったり一緒に考えたりするゲームをして、解散。

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あと半年続く学習の、いろんな意味での基礎作りをするのです。

子どもに一方的に知識を埋め込むプログラムとは一味違う、こういう仕掛け方。

総合性っていうんでしょうか。

学校の取り組みの幅広さや経験値の高さを感じました。

なんだか、子どもを見るより先生たちを見ていたような、、、そんな1日。

最後に先生から「学芸員Aさんの展示解説はすごくよかった!」と言われて、

嬉しかった反面、

どうもワタクシも児童の一人になったような、そんな錯覚を覚えました。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 17:22| Comment(0) | 日記