2017年08月22日

関東のとどこがちがうの

みなさんこんにちは学芸員Aです。

加曽利貝塚のマスコットキャラクター「かそりーぬ」は可愛いですね。


加曽利といえば、

あるお客様が笹山遺跡のある土器を見ながら、こうおっしゃいました。

「関東の土器とそっくり。見分けがつかないんだけど、どこが違うの?」

目の前にしていた土器は大木8b式土器ないしこれに類似するものだったので、

関東のそれはきっと加曽利E式シリーズの中でもE1とE2のことじゃないかと

思いました。

関東のにそっくり。それは当然。

だって、東北地方南部の大木8a・bの影響で加曽利E1式が作り出されたからです。

逆ではない。関東からの影響でこちらの土器ができたわけではないのです。

でも、土器スタイルの影響関係はともかく、

かそりーぬ(加曽利)の影響で

だいぎはちびーぬ(大木8b)とか、とちくらーぬ(栃倉)とかが作り出されても、

悪くはないかもしれないと思ったりしましたが、

すぐさま「需要」が極めて少なさそうなことに気がつき、

妄想から覚めました。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 16:30| Comment(0) | 日記

2017年08月16日

火焔型土器とヒスイの美意識

みなさんこんにちは、学芸員Aです。

お盆がらみでお客様が大変多くみえます。

そうすると窓口で質問なさる方もちらほらおられ、

幾度かご対応させていただきました。


「火焔型土器とヒスイと、なにかの美意識が繋がってるんですか」


そんなご質問もいただきました。

とても夢のあるお話なので、

キラキラ光る素敵回答を繰り出したいと思う反面、

考古学的にわかっている事実は冷たいものです。よくあること。

両者が同じ時期に流行したことは間違いありません。

でも、それ以上となると、互いの関係はよくわからないというのが実態です。

なんせ、火焔型土器の消費地はほとんど新潟県内に収まるのに対して、

ヒスイ製の装飾品は北は北海道、南は沖縄までわたってました。

火焔型土器を閉鎖的と言えるならヒスイは実に開放的。


こういうと、両者の対照的な役割が、

実は補完しあう関係に置かれていた可能性を暗示するかのようです。

でも、

ヒスイ製装飾品の生産地は糸魚川であって、

火焔型土器の中心は信濃川流域。中心にズレがあるのです。

信濃川流域の人々は、むしろヒスイ製装飾品の受け手の立場です。

どういうことなのでしょうか。

そんなわけで、火焔型土器とヒスイとの美意識のつながりは、

いまだ霧に包まれている、というところです。


もちろん、この霧を払うための個人的な腹案は、秘密です。

そんな案が本当にあるかどうかも、秘密です。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 17:52| Comment(0) | 日記

2017年08月15日

「研究って、何をしたらいいのか分からない。」

みなさんこんにちは、学芸員Aです。

この時期、自由研究をどうするか困っている方が多いかも、ということで

前置き省略で、書き留めておきます。

だいたいの研究はこの順でしますたぶん。

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1 対象を見つけ、集める
2 よく見て、分ける
3 パターンを見つける
4 パターンの理由を考える(仮説)
5 調べて、答えを作る(検証)
6 感想を書く
+++++++++++++++++

1 対象を見つけ、集める

なんでもいいです。
個人的には道端でいろんなものを拾うのが好きだったので、
石ころ、海岸の砂、海藻、パチンコの玉、昆虫の死骸、が面白いですが、
家の中なら宝箱の中身とか、本棚にある本の数々、調味料とかでもいいと思います。
いちおう、コツがあります。

1)「道端の」とか「パチンコの」とか、大きなまとまりがちゃんとわかること
2)ある程度興味が持てるものにすること
3)数をなるべく多くすること


2 よく見て、分ける

「見る」にはだいたい決まったやり方があります。まずはこれを見ます。

 1)色、2)形、3)計測サイズ(長さ・幅・高さ・重さ)、4)模様や文字、など。 

 それらを分類します。種類ごとに分けて、それぞれに名前をつけます。そして最後に、

 5)名前ごとの数を数える


3 パターンをみつける

分類すると、かならず多いものと少ないものとがあるはずです。
まれに全部同じ数になることもありますが、それでもいいです。
それらの数には、なにか意味があるので、気づいたことを全て書き出します。
たとえば、こういう単純な点も全てです。

 1)A群はいちばん多い。
 2)B群は2番目に多いけど、A群にくらべてすごく少なくて、C群とは少ししか違わない。

気づくことは多いほどいいです。


4 パターンの理由を考える(仮説)

なぜそうなるのか、理由を考えます。「〜だからだ」という書き方になります。
気づいたことの一つ一つの点についてでもいいし、ある点とある点との関係についてでもいいです。
「仮説」ですから、なんでもいいわけです。


5 調べて、答えを作る(検証

「仮説」があっているかどうかを調べます。
調べ方は、ネットでもいいし、人に訊くのもいいし、
図書館で調べるのでもいいし、実験してみるのもいい。
実験を考えるのが難しい場合は、調べて「仮説」があってたかどうかの答えを得ます。
調べた結果、仮説があっていてのかどうか、自分で答えます。

 対象がああいうパターンになっていた理由は、
 こういう理由があったからだ、

というストーリーにします。
ちなみに調べようがない「仮説」は、残念だけど思い切って捨てます。



6 感想をかく

最後です。
小学生には、これが必要そうですので、念のため書いておきましょう。

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研究にはいろんな組み立て方がありますが、
文学でも経済でも生物でも物理でも、
どのような研究でも「観察」と「分類」がベースになっていて、
その上にパターンの抽出と仮説検証が続きます。
小学生段階ではよく見る(観察・分類)をどういう観点でするべきなのかを
選択する大切さを覚えるのがいいのではないかと、個人的には思います。
これを繰り返すことで、最初の観察から分類が、
実はその後の目的(仮説検証)を拘束することに気がつけるようになるでしょう。

そのようなわけで、親御さんや学校の先生にも、
「よく見る」ことの大事さをお子さんに伝えて欲しいなと思ったりします。

そう、思い出しましたが、同僚が小学1年生の自由研究で頭を抱えていました。
対象は「金魚」のようでしたが、どうも眺めているだけで、それをどうするかが決まらない。

ワタクシの提案は「水槽を平面的に9分割して、どのそれぞれの場所へ行く回数を調べてみればいい。きっと回数に偏りがみえてくるので、その理由を考えたらいい」、というものでした。「なぜ金魚は水槽の中でゆらゆら移動するのか。その理由、なにかあるなら、面白そうだと思いませんか。」

そう言うと同僚曰く、

「パターンつっても、自分が水槽の前を通ると餌をくれると思って寄ってきちゃうけどね」とのことだったので、「それじゃん!すでにパターンが一つ見えてるじゃないの!」

と、叫んだ夏の日の昼。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 15:38| Comment(0) | 日記