2016年12月05日

十日町の異獣こそ真の雪男だ

みなさんこんにちは学芸員Aです。

「雪男」という銘柄のお酒があるのをご存知ですか。

鶴齢で有名な青木酒造さん(南魚沼市)の日本酒です。

この雪男。

ラベルのイラストを見てピンとくる方は、博物学的知識が豊富な方に違いありません。

南魚沼市塩沢出身、故・鈴木牧之さんの「北越雪譜」に出てくる、

異獣」が元ネタとなっているものです。

「異獣」(いじゅう)にまつわるお話は、いろんな意味で興味深い部分があり、

十日町人の心を捉えて離さない魅力を湛えていますので、少し紹介します。


魅力その1) 出没地域は堀之内から池谷にかけて

堀之内はいまの魚沼市の中心部で、池谷は十日町市の東北部です。

2話掲載されていて、1話目はその間の山中で出没。

2話目では池谷村が舞台です。

ここは日本中で数少ない、異獣の出没地域のひとつということになります。


魅力その2) いじゅうの奇跡は現在第2次

池谷といえば「奇跡の村」。

現在の「いじゅう」による奇跡は実は第2次だったことが判明。ゴホン・・・。

(池谷集落の、いや移住・定住政策を推進している十日町市のシンボルキャラクターにすべきだと、

提言したいと思います。 −2017.1.26加筆。)


魅力その3) 異獣はいいヤツ

1話目では、竹助なる男性が道中で異獣に出会い、

焼飯(焼きおにぎり)をあげたうえに、「帰りにもまたあげるよ」と約束したら、

池谷まで荷物を持ってくれたらしいです。

やや現金な気もしますが、、たぶんいいヤツです。

2話目では、農家の娘が生理で機織りができない(*そういう禁忌)と知って、

かわりに機織りをしてくれたらしいです。

この女性には、たびたびご飯をもらっていたらしいので、そのお礼ということなのでしょう。


魅力その4) 実は努力家または天才

それにしても、いったいどこで機織り覚えたのでしょうか。

織った反物は納品するわけですから、商品としての品質は保たれていたはずです。

まさか見ただけで覚えたわけはないでしょうから、

きっと誰にかに教わる機会があって、日々練習していたのではないでしょうか。

しかも、地機を持っているとは思えません。

そうなるとあちこちの民家で練習を重ねてきたに違いありません。

努力できる能力。それを私たちは通常、天才の条件とみなしているようなきがします。


異獣=天才説です。


そんなこんなで、いろいろと特徴のある異獣さんですが、

民俗学的には「山男」というカテゴリに分類されるそうで、

各地に似たような特徴の方々がいらっしゃるようです。

 青森の大人(おおひと)

 秋田北部の山人(やまびと)または大人

 新潟(高田)の山男

 新潟(魚沼郡)の異獣

 神奈川(小田原)の山男

 静岡(浜松市)の山男

 高知(豊永郷)の山男

 宮崎の異人(いじん)

似ているとっても、名前が全然違いますね。異獣だけ「人」らしい名前ではないです。

その点でいうと、「やまこ」に近いのかもしれません。


北越雪譜にも書かれているように、和漢三才図会の寓類の部に

異獣に似たようなものが載っていて、その名前が「 」( やまこ )です。

岐阜・飛騨あたりの「」(さとり)もその1種でしょうか。やはりこれも似ています。


でも、山男属も、「やまこ」も「、さとり」も、それはそれ。正確には別物。



魚沼郡の異獣には、他にはない特徴があるのです。



まず、近く本朝をうかがうに、

雪深いこの地域で生き抜く逞しさが凄い。

魚沼ではイノシシの分布がカスカスなのをご存知ですか。

イノシシは積雪30センチ以上の日数が70日以上ある地域には住めないといいます。

哺乳類の生息には非常に厳しい環境なのです。そこを生き抜く力。

逞しいという以外なんといえばいいのでしょうか。

つまり!



この異獣は「雪男」とも呼べる!(ムリヤリ)



 
ここで、遠く異朝をとぶらへば、

「雪男」と言われた連中は今、どうしているのか。

ビッグフットは、それを演じた人間が告白してしまった。イエティも、もはや絶望的。

追い打ちをかけるように最近、各種の雪男の遺体の一部でDNA鑑定が行われ

いずれも既知の哺乳類のものと判明するに至ったといいます。もはやこれまで。

いまやライバルはヨーウィーだけという説もあります。文字通り絶滅寸前。



せまりくる科学の波にもまれるなか、

現在、地球上最強かつ最終の雪男伝説の座を巡って

世界規模の熾烈なサバイバルが

繰り広げられているのではないか!? 




大変だ!!




と、そんな妄想をしていたところ、

たまたまワタクシの横を館◯が通りがかったので、思いつきで

「雪男をイベント化したら世界中から人が来るんじゃないでしょうか」と言ったら、


「はっは、やってみて。」



と、カラカラに乾いた視線とともに言われました。

ほ、本当にやっちゃうんだからなあ!と思いつつ、





「はい」と答えました。




よし!さっそく、足跡を探しに行こう!おう!!


雪が降っても只の学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 17:29| Comment(0) | 日記
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