2019年09月30日

バザー、フリマ、マルシェ

みなさんこんにちは学芸員Aです。


昨日の日曜日、笹山遺跡でマルシェが開催されました。その名も


Oh! むかしマルシェ


初めての開催にしては盛況だったようです。


こういう企画を通じて、身近なところに潜り込んでいるのになかなか意識できない、遠い昔の文化の影を感じてもらえたら嬉しいなと思います。


ところで、マルシェってな〜に?と思う方も結構いらっしゃるんじゃないかと思います。


つい最近でも、ものすごく身近なところで「マルシェってのは、要するに単なるフリーマーケットなんよ。」と説明するお方を見かけしましたし、今日もシルバーの作業員さんたちとお話ししていたら、かつてのワタクシ同様、そもそもそんな用語を聞いたこともないし、説明されても経験の中に思い当たるものがない、といった感じでした。

そういうワタクシもつい最近までマルシェというものを全く知りませんでしたから、似たようなものです。


あるサイトを見たら、こんな説明がありました。


 バザー ・・・特売


 ●フリーマーケット ・・・中古品。蚤の市とかガレージセールとも


 ●マルシェ ・・・市場


これだと、マルシェの説明はかなり広義で、むしろバザーとフリマが特殊な感じです。バザーとフリマ以外は全部マルシェのような気もしますが、3つとも特定の日に開催するグループなので、マルシェは臨機的な市場と見ればいい、ということでちょっと納得です。


とはいっても、この3つに共通する大事なことは、普段の生活のなかでは実現しないような新たな交流のきっかけが生まれるということです。臨機性がそれを生み出すのかもしれません。縁日的な特別感がありますから。出店者とお客さんの間はもちろん、出店者同士やお客さん同士の接点も作り出して、新しい緩やかなコミュニティを作り出していくのです。


そういうコミュニティやマルシェの具体的な将来像はまだぼんやりしていて、ワタクシにもよくわかりませんが、交流の側面からマルシェにハマる人は多いようですし、実際その場に身を置いてみると、これが地域づくりひとつの道になっていくのではないかと感じさせる何かがあります。


ところで、遺跡は過去のものを現代に残したものなので「遺産」ともいいます。

ですが、そこにあるだけでは片手落ち、というかたぶん逆に負債が膨らむばかりのような気がします。現在から将来にわたって社会のなかで何かの役に立ち続けることが必要だと思います。寺社仏閣のような現役バリバリの遺産とは違って、遺跡といわれるものは特にそうでしょう。何もしなければ廃墟か野原のように見えるかもしれません。


笹山は、火焔型土器などが国宝に指定されてからずっと「笹山じょうもん市」というイベントが開催されてきました。これに加えてここ7年余り、発掘調査に伴ってボランティアと協力してワークショップを続けてきました。そして今年、新しいイベントが生まれました。どのイベントも、ここが遺跡であることによって価値付けられたものです。


こうした活動の積み重ねが、地域にとっていいことにつながれば素敵だなと思います。


学芸員A

posted by 十日町市博物館 at 11:24| Comment(0) | 日記

2019年09月20日

博物館の学芸員は顔が見えるほうがいいか

みなさんこんにちは学芸員Aです。

博物館の学芸員は顔が見えるほうがいいか、それともカオナシのほうがいいか。これは結構真面目な話です。

個人的経験では、人前で解説させていただいたり、刊行物を出版したときによく思います。誰が話し、誰が書いたのかは、聞いたり読んだりする人にとっては興味があることだし、場合によっては必要だと思うからです。

■組織と職員

日本の行政機関における対外的な事務体制の単位は「組織」であって「個人」でないのが普通です。
組織的な決定事項について責任を負うのは組織だからでしょう。逆に言えば個人的な決定事項はありえない。民間組織も含めて、社会的な問題としてよくいわれる「責任の所在が分からない」のはこのためかもしれません。外部からみるとあまりいい感じではないですが、でも働く市民の個々人の立場に立てばありがたいものかもしれません。

いい・わるいの両面があって一概に考えるのは難しいところです。ただ、組織で行うのが普通といっても、実際のところ、ミュージアムで個人名を出さないようにする規則はありません。たぶん行政的に馴染みがない、というところでしょう。

■学芸員の業務って行政ではちょっと異質
学芸員の業務内容は、各学芸員個人の調査研究の上に成り立っていることが実際多く、業務内での完結性の高い職掌との違いが大きいことがある気がします。この範囲をどう見るかも影響するのかもしれません。枚挙にいとまがありませんが、例えば博物館にいる個人が学会賞を受賞したとき、当該博物館がプレスリリースをする・しないの判断はわかれます。職務的に行った研究でも個人研究でも、です。
前の記事で、博物館活動奨励賞を伊丹市昆虫館さんの3名の学芸員が受賞した件を紹介しました。このとき、伊丹市さんはプレスリリースをしました。でもそれよりも前に受賞した小樽市総合博物館さんは学芸員が教育長報告する場にメディアを招いていました。小樽市さんの公表方法は、内部の報告会だけど取材してもいいよ、という形であり、これはなかなか考えたと思いました。もちろん公表しない自治体もあります。対応はそれぞれなわけです。いずれも業務において行っていたことについて個人名で受賞したというところが考えどころです。

■美術手帖

美術業界ではこの問題が取り沙汰されることが多いようで、「美術手帖」のウェブサイトでもこのことが記事になっていました。

美術手帖 2019.5.15
学芸員は名前が出せない? 美術館の(奇妙な)現状を探る

2019-09-20_学芸員の名前1.jpg

「美術手帖」は、美術業界では個人名を出すほうがいいのではないか、と考えています。
欧米の美術館の例が挙げられていました。欧米をひとつつにまとめることもできないと思いますが、学芸員の基本的な地位の高さ(大学・研究機関の所属と同じ)や、学芸員を含むスタッフそのものが組織の貴重なリソース(資源)や誇るべき財産とする考え、もっと広く見れば個人を尊重する社会的風土が背景にあるかと思います。したがって、展示のキュレーションをするということ自体が業績の一部となりますし、またフリーランスのキュレーターの存在も一般的です。その意味では、社会や組織における個人をどうとらえるかによって、個人名を出すべきかどうかが変わる可能性があるといえるかもしれません。
日本の美術館でも、熊本市現代美術館や福岡市美術館のホームページでは学芸員の紹介が掲載されています(下記リンク)。消費者からすれば、何ら困るものではなさそうですし、むしろ地元の博物館にイイ学芸員がいれば自慢できたりして好意的に見ることもあるかもしれません。

 熊本市現代美術館 スタッフ紹介
 福岡市美術館 学芸員等スタッフ紹介

■滋賀県立琵琶湖博物館で

なにも美術業界だけが「顔出し」ムードというわけではありません。滋賀県立琵琶湖博物館では、展示室間の通路の壁面に、ずら〜〜〜っと学芸員の写真つきプロフィールや博物館での活動内容が掲げられていました。個人的にはとても面白くて、自分のご専門と職務内容とが一致している人もいれば、ちょっとずれている人もいたりして、目を引きました。もし博物館に訊きたいことがある時はこれをみれば何について答えてくれそうかどうかもわかるかなと思ったりして、親近感がわいたものです。

■みなさんはどうですか

最終的な結論は見つかりそうもありませんが、行政機関としてのミュージアムにとって重要なことは、どうすることがより「公共の利益」にかなうかに帰結するだろうと思います。「顔出し」することで何か困ることがあるのかどうか、またどんないいことがあるのか。これを考えることは博物館や学芸員が公共に果たす役割について考えることにつながります。結構真面目な話です。

みなさんの博物館はどのようにしているでしょうか。また、みなさんにとって学芸員の顔や名前が見えるほうがいいでしょうか。


学芸員A(←!)
posted by 十日町市博物館 at 12:13| Comment(0) | 日記

2019年09月17日

「すっきゃねん」

みなさんこんにちは学芸員Aです。

ブログの存在を忘れかけていたりはしません。けして。

さて、先日、我が館の学芸員が博物館活動奨励賞を受賞したというニュースがありました。ニュースと言っても、うちが発表しただけです。

受賞したレポートの内容はボランティアさんたちとの協働研究が題材でしたから、受賞はほぼボランティアさんたちの成果なわけですが、それでもあちこちから「おめでとう」のお言葉を頂戴するたび、よろこびもひとしおに感じる今日この頃です。

さて、先日、この賞を過去に受けられた方を見ていたら、前から興味深く拝見していた二つの館が目につき、「おお」と思いました。

その館とはこちら↓ ともに平成29年度です。


 ●受賞者:野本康太  奥山清市  坂本昇(伊丹市昆虫館)
 受賞論考:「郵便局と博物館―地域連携の事例と可能性」
 掲載号:「博物館研究」Vol.51 No.5

 ●受賞者:福田和浩(八尾市立しおんじやま古墳学習館)
 受賞論考:「八尾市立しおんじやま古墳学習館の取り組み―巨大古墳のある小さなミュージアムの奮闘記録」
 掲載号:「博物館研究」Vol.51 No.7


伊丹市昆虫館さんと、八尾市立しおんじやま古墳学習館さん(の学芸員さん)です。伊丹市さんは、プレスリリースも出して、さらに関連の企画展までしています。

伊丹市昆虫館さんといえば、2015年に企画展で昆虫食をテーマにしていたことを知り、このブログでも取り上げたことがありました。このテーマは、冗談や遊びのように見てもそうではなく、海外の食文化まで調査して掘り下げた本気度マックスな企画でして、ある方から頂いたパンフレットを読んだときはあまりのすごさに若干震えました。受賞はしかし、これとは別件で、地域連携の件で受賞されたようでした。意識の高いところは多方面にイイ活動をしています。

しおんじやま古墳学習館さんは、ゆるキャラの「ハニワこうてい」(埴輪皇帝)で知られ、「ハニワこうていのブログ」なるものまであります。紙に書いただけのキャラではなく着ぐるみまで作っている本気さ。子どもたちに大人気だそう。

ゆるキャラのメッカはやはり近畿にあると思わされます(個人の感想です)。
最初の衝撃は平城遷都1300年祭の「せんとくん」でしたが、世界遺産になる百舌鳥・古市(もず・ふるいち)古墳群の「ハニワ課長」(いまは部長!)や大阪府立弥生文化博物館さん「発見!古代エジプト展」にでてきた「ファラ尾」をみるにつけ、うまく言葉では言えない何かがこの地域にはある、そう思わずにはいられませんでした。

朝日新聞:ハニワ課長、ついに部長に 1600歳にして晴れて昇進


Facebook:大阪府立弥生文化博物館 ファラ尾



冗談のような本気。

まえに大阪人にとっての「すっきゃねん」と「すきやねん」のニュアンスの違いについて、本で読んだことがあります。何の本を読んだのかはさておき、それによると「すっきゃねん」は照れ隠しだとのことでした。ストレートに「すきやねん」とは言えない気持ちが表れているというのです。

諸説あるとは思いますが、なにかこう、ど真ん中に入る形に抵抗感があって素直に言えない何かが、上記の企画やゆるキャラにつながるんだと思えば、なんとなくわかるような気もしないでもない、気がします。


実は、上記の受賞のとき、京都市内の会場で「ファラ尾」の中の人に出会いました。まったくの偶然です。短い時間でしたが、お話ししてみると問題意識の高い、心底真面目なお方でして、ちょっと拍子抜けしかけましたが、ふと「すっきゃねん」のことが脳裏に浮かび、ああそうかと何となく納得したような気がしたような気がしたのでした。

今日は一体何を書いているのか分からなくなってきましたが、とくにかく近畿がいい、というくらいで分かっていただければ幸いです。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 13:24| Comment(0) | 日記