2019年01月13日

豪雪に生きて5千年

みなさんこんにちは学芸員Aです。

平素より「豪雪地」として鳴らしている十日町ですが、今年はやや少な目になりそうな気配が濃厚になってきました。

森林総合研究所十日町試験地さん発表の平年、昨シーズン、今シーズンを重ねたグラフがあります↓

http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/tkmcs/tkmcs_updates_j.html

実にわかりやすいですね。

面白いことに、今シーズンの積雪深は、昨シーズンよりも低くても、高低のパターンについてはかなり似ていることが分かります。それと、昨シーズンより数日遅れて推移していることも分かります。

この調子で行くと、あと数日でドカッと降りそうだということと、その結果の積雪深は昨年を上回るようなものではないことも推測でき、、、そうな気がしている、ような気がします。

かかる労力の大きさを考えると、雪はないほうがいい、という向きもあろうかと思いますが、なにぶん雪が降ることを前提にして特別なインフラがあり、お仕事があり、自治組織の活動があり、果てはお祭りまでもが雪頼みになっている町ですから、多すぎるでもなく少なすぎるでもなく「ある程度は」降って欲しいところです。

雪のない地域にお住まいの方は、「自治組織の活動ってなに?」とお思いになるかもしれません。

ワタクシの知る限りですが、雪に関して市民がよくかかわる組織には、3種類があります(人によって違います)。流雪溝(りゅうせつこう)組合、消雪(しょうせつ)パイプ組合、その他の水利組合、この3つ。たぶん。

流雪溝というのは、普通の地域でいうところの側溝のちょっと大きいものに定期的に井戸水を流して、除雪で出た雪を捨てられるようにしている設備で、かなり広域に張り巡らしてあります。

消雪パイプは、道路に埋め込んだパイプから井戸水を散水して雪を解かす設備です。

そして、水利組合は、かなり狭い範囲で共有の井戸を管理して、パイプを通じて各戸に流し雪を解かす設備を管理する組織ですが、同じような設備を個人で所有しているところもあると思います。

どの水も、井戸水です。川の水では冷たすぎて雪が解けないのです。

これが全部、常時使えるようならあんまり困らないのですが、井戸水には制限があるし、各設備は維持管理が必要です。もちろん全てに費用が掛かります。最近、公共性のあるところは補助金が出るようになってきましたが、それまではみんな住民が自費で維持管理していたわけで、考えてみればそれはすごいことです。こういう設備や組織は、もちろん雪があってこそです。雪がふらなくなったらきっと解散します。

そういえば、除雪する重機や上記の設備が十分にない時代には「道踏み当番」というのがありました。幹線道路の雪を踏んで歩く作業を集落ごとに当番制で行うのです。みんなが朝の活動を始める前、早朝から数人が1時間か2時間もかけて行っていたとか。豪雪になったのは約五千数百年前からで、雪の処理の仕方も維持すべき道路もさほど違いがないでしょうから、きっともう数千年間こんなことをしているのだろうと思います。縄文遺跡の出土品には時々意味不明なものがありまして、おそらく「道踏み当番板」としての機能があったという説はどこにもまったくありませんが、「違う」とも言えません。とにかく途方もない歴史です。

こうした雪に関わる組織や共同作業が互いの絆を深めてきたのではないかと、なんとなく思います。もし雪が降らなくなったら、どうやって近所と交流したらいいのかわからないような気さえします。雪に関わることそのものが独特な「地域」を生み出す源泉なのかもしれません。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 14:16| Comment(0) | 日記