2017年05月29日

十日町織物歴代標本帳

みなさんこんにちは、学芸員Aです。

「分じろう」内の文化歴史コーナー、HAKKAKEの展示。

今日まで市内遺跡出土の火焔型土器を展示していましたが、

水曜日からは十日町織物歴代標本帳にかわります。


この標本帳、1905年〜1949年(明治38年〜昭和24年)に存在した「織物消費税」の

算定資料のために提出が義務付けられていたものだそうです。

博物館ホームページにも記事が載っています。

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消費税ときくと1989年(平成元年)に課税されたときの社会的なショックを思い出しますが、

今から84年前、そんなに裕福ではなかった時代における

消費税のショックはいかほどだったろうかと、

想像するだに薄ら寒いものを感じ、鳥肌が立ったりするわけです。

しかも軍費調達のためですからね、余計に「鳥肌もの」なわけです。


その「鳥肌もの」を実感していただくため、

というわけではありませんが、

当時の織物業界の汗と涙を感じずにはいられない標本帳です。

博物館の常設展示にはありませんから、なかなか見る機会はない歴史的逸品です。

是非ご覧ください。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 17:56| Comment(0) | 日記

2017年05月27日

カモシカは特別天然記念物です

みなさんこんにちは、学芸員Aです。

昨日夕方、カモシカさんの死骸を発見したとのご一報をいただきまして、

本日出動してきました。

もちろん、回収、処分のためです。


山間部の小さな沢筋にあるマブのそばに、それはいらっしゃいました。

前回同様、自然の摂理にしたがった状態にあることがわかりましたが、

明確な、というか大胆な「命の循環」までは見られませんでした。


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ところで、

カモシカさんは国の「特別天然記念物」に指定されています。

只の天然記念物ではなくて、「特別」がつくとうことは、格上を意味します。

史跡ならば特別史跡だし、名勝なら特別名勝。

有形文化財なら、重要文化財の格上の「国宝」になるわけですから、

わかりやすくいうと、特別天然記念物は、天然記念物の国宝といってもいいわけです。


で、なぜこんな話をするかというと、

実は、今日のカモシカさんを発見した方が面白い方だったからです。

なんと、十日町市笹山遺跡の昔の発掘で、国宝・火焔型土器「ナンバーワン」の

発見に立ち会った方だったからです。

オーマイガ!なんということでしょう!


二つの国宝級の発見に立ち会った人は、

日本広しと言えど、なかなか居ないかもしれません。すごいことです。


これで、もしも、もうひとつ国宝の発見に立ち会ったら・・・・・


立ち会ったとしたら、


・・・





貴方が国宝だ!





学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 11:50| Comment(0) | 日記

2017年05月16日

ふたつの肝と、ひとつの気構え

みなさんこんにちは、学芸員Aです。

ある方から小学生総合学習の構築&指導マニュアルを送っていただきました。

「博学連携プロジェクト」の顧問の先生がまとめたものです。

そのマニュアルを拝読していて、

ふと笹山縄文カレッジで開講している、

「夏休み親子自由研究サポート」(以下、サポート。)を思い出しました。

ほとんど同じだったからです。

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小学生が研究課題を設定してから解決へと導くとき、

ひとつずつ段階を踏んで、進む道筋を知らせるのが普通です。

サポートでもそのような導きを行っていまして、箇条書きにするとこうです。

1思いつき、2下調べ(受講)、3課題設定、4計画・調査、5まとめ、6発表。

が、実際の作業はそう単純にはいかないもので、

経験的に、この学習を進めるには

肝心なことが2つあると感じています。


ひとつ目は、課題と調査等との往復です。

小学生にとっても結構悩ましいようです。

課題設定と調査等とは本来相互に拘束する関係にあって、

つまり設定した課題は、調査・製作・実験によって解決に至れるものかどうかによって

撤回あるいは変更されるものであるということが、

小学生にはなかなか理解しづらいのです。


だから、上記のサポートでは、

課題設定は「調べたらわかりそうかどうか」の見通しを「同時に」行うことも

教えることになります。

無邪気な夢(課題)を潰すことにもなりかねませんが、

自由奔放すぎてまるで調査等ができないような課題では

お先真っ暗になってしまうからです。


ふたつ目は、研究発表のルール。

本来は調査・製作・実験によって明らかにできそうな課題を設定したのに、

最後の発表では、課題設定があたかも見通しなく立てられた純粋な課題であったかのように

表現されることがよくあります。まるでサクセスストーリーのようです。

このような表現方法は「科学研究」の暗黙のルールであって、

課題が調査等の方法にいかに規制されているかは書く必要がないからです。

子どもにはなかなか理解しづらい部分のような気がしますが、

覚えてもらうほかありません。


で、以上をするには、

モチベーションを維持しなくてはなりません。

これはもしかすると一番大切かもしれません。

サポートでは一つの話題を挟みます。

ノーベル賞を受賞したある研究者の話です。

課題設定と調査等との往復は、

一つの成功(解決)の数倍から数十倍もあるということを教えています。

つまりは、見通しが立ったとしても結果としては失敗のほうが多くなってしまうということです。

だから、課題が解決できなかったということを気に病む必要はないし、

誰も責めないし、今回は沢山ある失敗のひとつを経験しただけ、

それよりもなぜ失敗したのかを考えて、

またあたらしいアプローチを考えたらいいと話します。

「失敗は成功のもと」とはこのことです。

これで、親子ともども安心して取り組めます。


「課題と調査等の往復」と「研究発表のルール」という、肝。

そして「失敗は成功のもと」という気構え。

これらが研究課題をもつ学習の大事なポイントになると思いますが、

実は、おなじようなことが、親や先生にも必要だということも、ミソです。

「博学連携プロジェクト」の縄文学習でも、

これから総合学習の時間を使っての長い取組み期間に入るようです。

児童も先生も、頑張ってもらいたいと思います。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 15:06| Comment(0) | 日記