2017年02月26日

本気で雪像が見たいなら十日町に行け。

みなさんこんにちは、学芸員Aです。

雪つまりって言ったら、全国的に有名なのは「札幌雪まつり」ですよね。

「それしか知りません」っていう方が圧倒的に多いんじゃないかと思います。

十日町に来るまでは、ワタクシもそうでした。

だから、十日町に「雪まつりがある」と聞いても、

なんだか札幌市さんの廉価版のようなイメージというか、先入観を持っていましたし、

日本最古と聞いても、「だから何」的なひねくれた気持ちも持っていたわけです。

たぶん雪まつり自体にそんなに興味がなかったこともあるかもしれません。


今年、ニュースで度々「札幌雪まつり」の映像をみる機会がありました。

「あれ?」

ちょっとした気づきがありました。

で、ネットで全部見る機会もありました。コレです。

あれ?と思ったことは、確信に変わりました。

2分くらいの動画なので、皆さんも見てみてください。


ところで、全国の雪まつり10選というまとめサイトがあります。

雪まつりって沢山あるんだなー、と思うじゃないですか。

でも、そこじゃない。

写されている雪像作品を、見てください。

トップに上がっている画像は、十日町雪まつり(中条北原の作品)です。

このくらいの規模とレベルのものがゴロゴロあって跳梁跋扈している状況、

それが十日町雪まつりです。

今年の受賞作品はホームページで紹介されています。コチラです。

最高栄誉は「市長賞」なわけですが、市長賞がダントツかというとそうではなく、

それよりも下位にもものすごい作品がいっぱいあります。

あんまり雪まつりに関心がなかったワタクシでも、これらを目の前にした時は


「うわ〜〜!すご〜い!!!!」


と叫ばずにいられませんでした。

ひとつ見られればいいやと思ってたのに、

車で移動してもうひとつ見て、さらにもうひとつ見たくなる、

全部がそういう迫力なんです。

それもそのはずです。

ここ数年一緒に作ってみてわかったのですが、雪像にはテクニックがいるんです。

そのテクニックは、20人くらいのチーム全員が習得する必要があるわけですが、

場所や時間がなくて練習できないために、年に一度のイベントでしか力量をあげられない。

だから、熟練するのに10年近くかかってしまいます。

あの頃は小学生だった彼が、大学を卒業する頃になってやっとできるようになる、

大学生だったあいつはもう立派なお父さん、

お父さんだった彼は、もう直ぐ孫が生まれます、なんてことになるわけです。

考えてみるとすごい時間感覚です。

ほとんどの雪像が、町内会などの有志が参加して作っているそうです。

20年以上やっている人もざらです。

そうやって地域の中で伝承されていく技術でもって作り上げているのが十日町の雪像で、

・・・

なんだかちょっとウルっときました。



本当に雪像が見たいという方は、十日町に来ればいいと思います。

地域の和と伝承の結晶を見たいという方も、同じ。

職員がこんなことを言っても、身贔屓でしょと信じてもらえないかもしれませんけど、

ともあれ、これほど全国区を意識したことは、かつてなかったかもしれません。

来年も掛け値なし、並ぶものなしと、胸を張って言えるとおもいます。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 10:00| Comment(2) | 日記

2017年02月25日

「昔の道具と暮らし」について

みなさんこんにちは、学芸員Aです。

「昔の道具と暮らし」について、

今年に入ってから毎週のように展示解説授業を行っています。

小学3・4年生向けの授業です。

数をこなしてきたので、先生方ご要望の組み立て方がわかってきました。

最初は一通り解説。

「昔っていつのこと?」と尋ねると、ちゃんとした答えが返ってくることは稀です。

歴史とか時代とかについての事前学習をしてないことがわかります(習う段階にない)。

質問を重ねながら、ちらっと横目で先生の反応をみていると、

どうも江戸から昭和初期くらいが「昔」のようです。

このくくりからすると、この授業は歴史学ではなく民俗学だと直感できます。

その後は自由学習時間にして、

「これは」と思う民具に目をつけて、メモを取り、スケッチを描いてもらい、最後は質問時間。

教科書や副読本には、よく「今とくらべてどうだろう」だとか、

「昔の人は今と違って不便だったけど、色々な知恵を使って工夫していたんだね」だとか、

そういう言葉がよく見えます。児童の感想文もそうなってきます。

先生方にも授業の組み立てというものがあるので、一応それに沿ったお話をします。



が、思うところがあります。



過去を現在よりも劣っているとみる見方はこう動機付けられて育つんだと、

わかりました。

過去を現在から見ると結構そうなりやすいと思います。

発展とはそういう側面を持つものですから、間違いではないでしょう。

でも、過去は、それよりも過去を踏まえて同時代的に見るという見方が大切ではないか、

ワタクシは、そう思います。

たとえば昭和初期の道具のなかに「電気洗濯機」があります。

現在との比較で見たら「その程度か」となりやすいものです。デザインもイマイチ。

でも、「たらいと洗濯板」しかなかった時代における電気洗濯機の登場は、

おもに主婦の一日の時間設計において革命的な出来事だったわけです。

機能も見た目もイマイチとか、こんなのしかなくて大変だねとか、

そういう話ではないわけです。

それから、畳くらいの大きさの計算機の登場の話をします(モノはありませんけど)。

現在のコンピューターからみたら、そりゃあもう、ありえないほど違う。

でも同時代においてみた時、科学的にも産業的にも軍事的にも

これまた革命的な出来事だったわけです。

スマホにアプリとして入ったとか、そういうちゃちな変化ではないわけです。


歴史的なものの見方は、価値観の基底に大きく影響してくるのではないかと、

ワタクシは思います。

これは歴史的な前後関係にある社会間だけでなく、

同時代における社会間の関係の見方にも影響してくるかもしれません。

ここで多くは言えませんが、道具の向こう側に見て欲しいのは優劣ではなくて、

その時々の社会の状況とその変化です。

そういうことが感じられるようなリーディングを先生方にはお願いしたいところです。

それが、なにより現在の社会の多様性を考えるための適切な筋道を作るんじゃないかと、

思うからです。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 09:48| Comment(0) | 日記

2017年02月21日

生き字引

「知りたいなら字引きを引け」

よくそう言われて育った学芸員Aです、みなさんこんにちは。

いま思えば、そう言っていた父親は、

大枚はたいて買った百科事典を一生懸命使っているところを見せて、

誰かに向けて「ほらほら使えるだろう」アピールをしていただけなのかもしれないと

思えなくもないですが、それはそれ。

十日町市に来てから「字引き」ならぬ「生き字引」にお世話に

なることが大変多いのは、その習慣が染みついていたためかもしれません。

地域のことはネットを調べて載っていないことがほとんどです。

2017-02-21_ikijibiki.jpg

今日は、ある民具の作り方(もちろんこの地域の)を調べたくて、

いちおうネットで検索するも、当然、ありませんでした。

で、早速、博物館2階の生き字引(といってもまだ元気元気)に訊いてみました。

ワタクシはお願い事や聞きたいことがあるとすぐに2階へ行くので、

みなさん「またきたか」と身構えられましたが、質問したら即答で

「あの人に頼むといい」と、一瞬で教えてくださいました。さすが。

それと、「酒1本いるな」とも。重ねてさすがです。

感謝。


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 13:48| Comment(0) | 日記