2016年07月27日

ヴンダー・カンマー

みなさんこんにちは。

たまに真面目なことを書くと、アクセスカウンターが微動だにしない

という夢を見た学芸員Aです。


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さて、突然ですが、この言葉をご存知でしょうか。


 きょういの部屋


「教育委員会の部屋」っていう読み方もあり得なくはないですが、今回は違います。

博物館学の基礎をかじった学芸員なら、すぐにこう思い浮かべることでしょう。



 驚異の部屋



そう、ヴンダー・カンマー(ドイツ語:Wunderkammer)です。

驚異の(または不思議の)部屋は、15世紀から18世紀にかけてヨーロッパで流行った

珍品博物陳列室のことで、現在に至る博物館の原型といわれています。

大英博物館も、ある貴族のヴンダー・カンマーを前身とするんだそうで、

このことはウィキペディア先生がさらっと教えてくれます

ヴンダー・カンマーを作った王侯貴族は、

珍品のひとつひとつについて学問的知識を持っていたわけではなく、

分かりやすくいうと単なる好事家であり、それを客にひけらかして自慢していたようです。

しかし、植民地時代の世界中から収集されてきた珍品器物が充満したその部屋で、

観る者はヨーロッパ大陸を遥かに超えた世界の広さと不可思議さに思いをはせ、驚嘆し、

創造主の思慮の深遠さに畏敬の念を抱いたのでしょう。


「驚異」体験の渇望は昔も今も同じです。

たとえば火焔型土器。

その意味はほとんどわからないけど「とにかくすごい」、「見てみたい」。

だれでもそう感じます。

「驚異」は現在においても博物館を訪れる人々の多くが共有している、

抗いがたい動機、まさに「鑑賞」の原点であり、

それが現在の博物館といわれるものの原点でもあるのです。

(注:日本の博物館の原点は異なります。)


■ ヴンダー・カンマーの現在

ヴンダー・カンマーは、現在、

学術資料とアートの融合という脈絡において、

「展示デザイン」という当時にはなかった考え方から捉えなおされ、

再評価の俎上にあがっています。

既にいくつかの実践を経て展示デザイン上の確固たる領域を形成しているように見えます。

そのものずばり「驚異の部屋」という展示があったことは有名で、

東京大学に引き続いて京都大学でも開催されました。

そこで展開された展示デザインは、インター・メディアテクでも採用され、

数々の展示デザイン賞を受賞しています(リンク先ページ下部)。


■ アート的脈絡

ヴンダー・カンマーが学術資料とアートとの融合において

どんな意味を持ちうるのでしょうか。

現代アートの特徴のひとつに「問いかけ」がある、ということを前に書きました。

現代アートは何かをいつも問いかけている、そう思っています。

鑑賞者には、その問いかけに何かを感じ、考え、回答する自由があります。

だから作品は、制作者の意図が鑑賞者の自由をあまり束縛しない形で提示されます。

説明は殆どありません。

鑑賞には、鑑賞者個人個人のなかに課題や問題意識があるか、

あるいは、モノの背後に、共有可能なある抽象的な意味を汲み取る志向性が必要です。

何の構えをもって対峙することで、初めてその意味を感じ取れる、そういうものです。

現代アート作品の「意味」は、作品と鑑賞者との間で双方向的に形成される。

これが前提です。

注:実際には、鑑賞者の生きている文脈から外れすぎているために、
ほぼ意味不明な作品も沢山あります。
問いかけも、束縛から無制限に解放されたものではありえません。


ヴンダー・カンマーが再評価の俎上に上るのは、

実はこのような現代アートにおける鑑賞態度・意識との関係においてです。

学術資料は、当時において詳細を極めた分析調査対象(試料)だったり、器具だったりするわけで、

そういう点ではモノがもつ「意味」は深く周到に規定され、鑑賞者の意識を強力に束縛します。

しかし、ヴンダー・カンマーに始まった博物館の原点である「驚異」を再評価し、

さらに鑑賞者の意識を深く分析的に束縛しないことをひとつの原則とすることで、

学術資料をなんからの文脈におかれた、

問いを内包する現代アートのように鑑賞してもらえるのではないか。

双方向的に形成される新しい鑑賞体験を提供できるようになるのではないか。

「驚異の部屋」にも「インター・メディアテク」にも、ほとんど解説がありません。

それはまさに鑑賞者への問いかけという現代アートの特徴を取り入れた、

文字通り現代的な試みといえるものでしょう。


文化遺産と現代アートとの関係においても近年、融合の焦点が模索されています。

縄文土器先生のように、興味深いことにポップカルチャー分野への接近が顕著に見えます。

文化遺産と学術資料とでは、地域に埋め込まれた価値という点で

そもそも決定的に異なるモノなので、直接の比較対象にはならないでしょう。

しかし、展示物が何であれ、接近している分野が何であれ、

博物館や展示の将来を考えるうえで現代アートとの関係の持ち方を模索するならば、

ヴンダーカンマーの再評価と実践が重要な参考資料となるのは間違いありません。

今後も注視していきたいと思います。


今日こそ学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 11:30| Comment(0) | 日記

2016年07月22日

有孔ボード

みなさんこんにちは、柔道初段の学芸員Aです。

「ゆーこー」

と言ったら、すぐさま「有効」と思い浮かぶわけですが、

社会教育部局では違います。


有孔


これです。

ちなみに縄文部局でも同じかもしれません(有孔鍔付土器)。

そんな「有孔」がいったいどんな場面で使われるかというと、

写真や絵画などを展示するときに使う「有孔ボード」という製品の名称として使われます。

けっしてエレガントとは言い難いけれど、コストや使い勝手という点では並ぶものがない、

そういう特徴をもっています。

どういう風の吹き回しなのか、最近このボードにお世話になる機会が増えていて、

近々にまた、ある場所で使う予定が入ってきました。

なんのためって、もちろん、展示のためです。

そこで、このボードに使うフックを用意しなきゃ〜っと、

鼻歌交じりにその会場へ向かうと・・・

「ない」

・・・・


「フック」がない。


ボードがあってフックがない、なぜ。

十日町に来て、はや5年。

麻痺してきたのか老いてきたのか、

色々な不測の、というより不思議な事態に驚かなくなりましたが、

今回また驚いてしまいました。


フックがないくらい、なんとかなる。

そういわれれば、もちろんそうなんですけども、

たとえてみるなら、こういうことではないでしょうか、


トイレがあって便器がない。


人間だって、もともとは野生動物。

しようと思えば、もちろん、なんとかなりますけど、ね。

やっぱりあったほうがいいわけです。


フックは結局、ほかから借りることにしまして、無事解決いたしました。

貸してくださる方も、「え?ふふふ。」 って感じでした。

こちらも「えへへ」って感じだったので、

しだいに共鳴して「あはは」ってなりました。

感謝です。

2016-07-22_yuukoubo-do.JPG


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 09:53| Comment(0) | 日記

2016年07月19日

あなたの「縄文土器先生」ダンス動画を大募集!

縄文土器先生、リピートアフターミー。

みなさんこんにちは学芸員Aです。

NHKの大人気番組「びじゅチューン!」に我らが火焔型土器が登場したことは、

良い子のみなさんのことですから、もうよくご存知のことと思います。

その「びじゅチューン」がDVDブックになって、

しかも巻末に縄文土器先生ダンスのHow toが掲載されたことも、記憶に新しいところです。

そんななか、なんと!

DVD BOOK2の特別キャンペーンとして、こんな企画が発表されました!


あなたの「縄文土器先生」

ダンス動画を大募集!


しかも!

井上涼監修でPVつくります!(NHK)



NHKさんの編集のプロが一本の動画にまとめて公開してくれるそうですよ。

え、そんなことして何になるんだって?

それをいっちゃあ、おしまいですよ。


「踊れるものも久しからず。ただ春の夜の夢のごとし。」

っていうじゃありませんか。


みんなで夢見ましょう(謎)



火焔型土器を愛してやまない方々とか、

踊りが好きだという方とか、そうでもないけど目立ちたい方とか、

目立ちたくもないけど誘いを断れない方とか、

県の知事とか市長とか町長という肩書きを持っている方とか。

とにかく誰でも参加できますから、



この踊りのために、お面まで用意されていて、ダウンロードできるそうですよ。

締め切りは10月16日ですから、これから検討しても十分間に合います。

こんなに早い告知は、じっぱくブログとしては空前絶後。それだけ力がこもっている証拠です。

いますぐアクセス!


学芸員A
posted by 十日町市博物館 at 16:05| Comment(0) | 日記